CCTA Map冠動脈CT用語集
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非動脈硬化性の冠動脈所見と修飾子E

本セクションでは、冠動脈CTでよくみられる非動脈硬化性の冠動脈所見として、心筋ブリッジ、冠動脈の起始・走行異常、冠動脈瘤・冠動脈拡張症などを扱う。CAD-RADS 2.0は、そのリストに挙げる非動脈硬化性所見を修飾子Eで示す。修飾子Eは狭窄のカテゴリーを置き換えず、これに付記する。

要点

  • 心筋ブリッジは部位、深さ、長さで記載する。動脈を覆う心筋が2 mm以上であれば深在型、トンネル長が25 mm以上であれば長いブリッジとする。
  • 単一心位相の撮影では心筋ブリッジの収縮期圧迫を正確に評価できないため、レポートに記載する際はこの限界を考慮する。
  • CAD-RADS 2.0とSCCT 2026のいずれも、修飾子Eの対象リスト(網羅的ではない)に心筋ブリッジを挙げていない。したがって、心筋ブリッジにEを付けるかどうかは解釈による。
  • 異常冠動脈は起始、走行、内腔径、終末部で記載する。高リスクとされるのは動脈間走行であり、壁内走行を伴う場合は特にリスクが高い。
  • 冠動脈瘤は参照血管径の1.5倍を超える拡張で、血管長の半分未満にとどまるものをいう。拡張が血管長の半分を超える場合は冠動脈拡張症と呼ぶ。
  • 修飾子EはN、HRP、I、S、Gの後、コードの末尾に置く。どのセグメントにもプラークがなければ、コードにPは付けない。

マップでの例

心筋ブリッジ

ブリッジの手前、LAD近位部のプラークがカテゴリー3を決める。マップは収縮期圧迫20%の表在型ブリッジを狭窄度として評価せず、圧迫が50%未満のためEも付加しない。

このセクションの用語 (12)
  1. 心筋ブリッジ
  2. 心筋ブリッジの深さ・長さ・収縮期圧迫
  3. 冠動脈起始異常
  4. 異常冠動脈の走行
  5. 壁内走行
  6. 起始異常の高リスク解剖
  7. 単冠動脈
  8. 冠動脈瘤と冠動脈拡張症
  9. 冠動脈血管炎
  10. 冠動脈瘻
  11. 特発性冠動脈解離と壁内血腫
  12. 修飾子E(例外)
表 1. 異常冠動脈の走行。SCCT 2026は4つを挙げ、心臓後方走行は単冠動脈に関する報告に基づく。
走行経路文献上のリスクマップでの表示
動脈間走行大動脈基部と肺動脈幹の間高い(特に壁内走行を伴う場合)「動脈間走行」
経中隔走行(肺動脈弁下走行)肺動脈弁の下方、中隔内動脈間走行より低い選択肢なし
肺動脈前走行肺動脈幹の前方概して良性「肺動脈前走行」
大動脈後走行大動脈基部の後方概して良性「大動脈後走行」
心臓後方走行心臓の後方概して良性選択肢なし

出典: SCCT 2026、p. 12(走行の分類、動脈間走行の高リスク、経中隔走行の圧迫が少ないこと);Cheezum 2017、J Am Coll Cardiol、抄録(大半の亜型は良性であり、突然死は動脈間走行と関連する);Sheng 2021(心臓後方走行、概して良性)。

心筋ブリッジ Myocardial bridging MB#

別名: 心筋架橋, 心筋内走行 (トンネル部を指す語で、同義にも用いられる), トンネル冠動脈, 壁在冠動脈 (Angelini分類の「intramural coronary artery」にあたる。本用語集では、壁内走行(異常冠動脈が大動脈壁内を走る区間)との混同を避けるため、見出し語を心筋ブリッジとする) 本用語集では使わない, myocardial bridge (英語)

心外膜冠動脈の一部の区間が心筋内のトンネルを走行する状態であり、その上を覆う心筋束をブリッジと呼ぶ。

記載例

左前下行枝 (LAD) 中間部に心筋ブリッジ。拡張期のみの撮影のため、収縮期圧迫は評価不能。

混同しやすい点: 心筋ブリッジの心筋内走行と異常冠動脈の壁内走行。前者は心筋内のトンネル部、後者は起始部近くの大動脈壁内を走る区間である。

関連項目: 心筋ブリッジの深さ・長さ・収縮期圧迫 · 壁内走行 · 左前下行枝の近位部・中間部・遠位部 · 修飾子E(例外)

出典: SCCT 2026、本文、非動脈硬化性冠動脈異常(セクションj)、p. 12 · “Myocardial bridging is characterized by encasement of coronary arteries by myocardial fibers, with a tunneled intramyocardial segment and a myocardial bridge that overlies the artery.”

詳細

読影での使い方: LADの曲面再構成(CPR)で同定し、血管短軸像で確認する。短軸像では、トンネル部が心筋に囲まれてみえる。所見には血管名とセグメントを記載し、深さと長さを記述する。収縮期と拡張期の両方を撮影した場合は、収縮期圧迫も記述する。

注意点: トンネル部のみを観察し、その手前(近位側)のセグメントを見落とすこと。Rovera 2023の総説では、プラークは主にブリッジの直前にみられ、トンネル内にはまれである。

他の文献: SCCT 2014は、左主幹部欠損とともに心筋ブリッジを臨床的意義をもちうる解剖学的変異に挙げていた。頻度が高いため、真の異常ではなく変異とみなす著者もいるが、多くの分類は走行異常に含めている。心筋ブリッジが最も多くみられるのは左前下行枝(LAD)、特にその中間部である。 (SCCT 2014、セクション10.6.2、p. 352;Genoud 2026、セクション4.2・4.2.1および表2;Rovera 2023、緒言)

CCTA Mapでは

ブリッジを追加できるのは左前下行枝 (LAD) 中間部のみで、その編集パネルの「心筋ブリッジ」で「ブリッジを追加」を押す。マップではトンネル部が心筋に沈み込むように描かれ、「心筋ブリッジ · 深在型」または「心筋ブリッジ · 表在型」のラベルが表示される。ブリッジは「深在型」で、「収縮期圧迫」は空欄のまま始まる。スライダーで値を入れるまで、レポートには「収縮期圧迫は未評価」と書かれ、Eは付かない。「未評価」を押すと値は再び空欄になる。圧迫が50%以上になるとEが付く。ブリッジ自体はカテゴリーを変えず、トンネルをまたいで入力したプラークはトンネルの両側に置かれる。ブリッジによる狭小化は、種類「非動脈硬化性」と原因「心筋ブリッジ」で入力する。トンネル内に描かれ、狭窄度が評価されてEが付く。セグメントをNにすると、レポートには圧迫を評価できない旨が書かれる。

マップのテンプレート出力(原文のまま)

左前下行枝 (LAD):近位部:非石灰化プラーク、中等度狭窄(50-69%)、同血管の他部位に病変なし。中間部に心筋ブリッジを認め、壁内走行(表在型)および約20%の収縮期圧迫を伴う。分枝 D1、D2:病変なし。

インプレッション 中等度の閉塞性冠動脈疾患。CAD-RADSカテゴリー 3/P1。

左前下行枝中間部の心筋ブリッジ、有意な収縮期圧迫なし(<50%):非動脈硬化性所見であり、CAD-RADSカテゴリーを変更せず、修飾子Eも付加しない。

閉塞性病変(≥50%):LAD。

心筋ブリッジの深さ・長さ・収縮期圧迫 Myocardial bridge depth, length and systolic compression#

別名: 表在型・深在型心筋ブリッジ, 心筋ブリッジの分類, ミルキング現象, milking effect (侵襲的冠動脈造影でみる収縮期圧迫の所見), 収縮期圧排, ブリッジ長, Noble分類 (収縮期圧迫の3段階の血管造影分類)

SCCT 2026は心筋ブリッジを、被覆、深さ、長さ、収縮期圧迫で分類する。被覆は、動脈の75–99%が心筋に囲まれる部分被覆と完全被覆に分かれる。動脈を覆う心筋の厚さが1 mm以上2 mm未満なら表在型、2 mm以上5 mm未満なら深在型、5 mm以上なら非常に深い(very deep)とする。長さは25 mm未満なら短いブリッジ、25 mm以上なら長いブリッジである。収縮期圧迫は、収縮期の内腔狭小化なし、50%未満、50%以上に分ける。

記載例

左前下行枝 (LAD) 中間部に心筋ブリッジ、深在型(被覆心筋の厚さ3 mm)、長いブリッジ(30 mm)、収縮期と拡張期の比較で収縮期圧迫は50%未満。

関連項目: 心筋ブリッジ · 修飾子E(例外) · 多断面再構成と曲面再構成

出典: SCCT 2026、本文、非動脈硬化性冠動脈異常(セクションj)、p. 12 · “superficial (1-2 mm), deep (≥ 2 mm), very deep (≥ 5 mm) and short (<25 mm) or long (≥ 25 mm)”

詳細

読影での使い方: 動脈を覆う心筋の厚さは血管短軸像で、トンネル長は曲面再構成(CPR)で計測する。収縮期圧迫は収縮期と拡張期を比較して評価する。SCCT 2026によれば、ブリッジの厚さ、収縮期狭窄、拡張期狭窄はいずれも独立して症状を予測しうる。なかでも拡張期狭窄は、診断能と有害事象の予測能が最も高い。

注意点: 拡張期の単一心位相しか撮影していないのに、収縮期圧迫の割合を記載すること。SCCT 2026は、単一心位相では解剖学的評価に限界があると注意している。

他の文献: 侵襲的冠動脈造影では、Noble分類がLADの収縮期圧迫を3段階に分ける。グレード1は50%未満、グレード2は50–75%、グレード3は75%超である。冠動脈CTでは、SCCT 2026が収縮期圧迫をなし、50%未満、50%以上に分けている。 (Noble 1976(Xu 2022、方法の項で引用);SCCT 2026、p. 12)

CCTA Mapでは

「深在型」と「表在型」にはmm単位の閾値がなく、非常に深いブリッジの選択肢もないため、計測値とSCCT 2026の分類は下書きに手入力する。「トンネル長」はセグメントのうち描画される割合(10–55%)で、mm単位ではなく、テンプレートにも出力されない。「収縮期圧迫」スライダーの数値(0–90%)は、マップではトンネル部の狭小化として描画され、所見に記載される。圧迫が50%以上になると(SCCT 2026の分類と同じカットオフ)、マップはEを付加する。「深在型」の場合または圧迫が50%以上の場合には、インプレッションに血行動態的リスクがより高いことを示す文が加わる。圧迫は空欄で始まり、スライダーで値を入れるまでレポートには「収縮期圧迫は未評価」と書かれる。「未評価」を押すと再び空欄になる。セグメントをNにすると、レポートには圧迫を評価できない旨が書かれる。SCCT 2026の分類(狭小化なし、50%未満、50%以上)は「✎ 下書きを編集」で記載できる。

マップのテンプレート出力(原文のまま)

左前下行枝 (LAD):動脈硬化性病変なし。中間部に心筋ブリッジを認め、壁内走行(深在型)および約55%の収縮期圧迫を伴う。分枝 D1、D2:病変なし。

インプレッション 冠動脈疾患を認めない。CAD-RADSカテゴリー 0/E。

左前下行枝中間部の心筋ブリッジ(修飾子E、外因性圧迫による非動脈硬化性所見):圧迫は動的(収縮期)であり、CAD-RADS 0-5のカテゴリー分類は変更しない。深在型の走行および/または高度な収縮期圧迫は、血行動態的リスクがより高い解剖学的因子であり、臨床症状との対比を要する。他に明らかな原因のない狭心症を認める場合には、機能的評価(CT-FFRまたは負荷試験)の追加を考慮する。

心筋ブリッジを伴うLADの曲面再構成の模式図。拡張期と収縮期を並べ、深さと長さを示す。

マップで例を開く CAD-RADS 0/E →図を拡大表示

図 1. 心筋ブリッジは、動脈を覆う心筋の厚さとトンネル長で計測する。圧迫は収縮期と拡張期を比較すると明らかになり、単一心位相では評価に限界がある。

冠動脈起始異常 Anomalous origin of a coronary artery AAOCA・ALCAPA・ARCAPA#

別名: 冠動脈異常起始, 冠動脈奇形 (より広い概念), 大動脈からの冠動脈起始異常 (AAOCA。肺動脈からの起始は含まない), ACAOS (SCCT 2021が対側のValsalva洞からの起始に用いる略語), ACAPA (ESC 2020が肺動脈からの起始に用いる略語), 左冠動脈肺動脈起始症 (ALCAPA), Bland-White-Garland症候群 (ALCAPAの別名)

冠動脈が通常の部位以外から起始するものを起始異常という。対側の冠動脈洞または無冠動脈洞からの起始、高位・低位・交連部からの起始、肺動脈からの起始がある。

記載例

右冠動脈 (RCA)の起始異常(左冠動脈洞から起始)、動脈間走行。冠動脈に動脈硬化性病変なし。

この例の前提: 近位部に狭小化がないこと。狭小化があれば、その狭窄度と、Eを付けたカテゴリーを書き加える(中等度狭窄でプラークがなければCAD-RADS 3/E)。

混同しやすい点: 「冠動脈に動脈硬化性病変なし」と「冠動脈に異常なし」。起始異常は冠動脈の所見であり、CAD-RADS 2.0はこれを修飾子Eで示す。

関連項目: 異常冠動脈の走行 · 起始異常の高リスク解剖 · 単冠動脈 · 修飾子E(例外)

出典: SCCT 2026、本文、非動脈硬化性冠動脈異常(セクションj);円錐枝は冠動脈解剖の項、p. 5 · “Anomalous origin could be from the opposite or non-coronary sinus of Valsalva or from pulmonary arteries.”

詳細

読影での使い方: 各冠動脈を、軸位断像と大動脈基部の斜位再構成像で入口部から追跡する。SCCT 2026は、起始、形態、走行、内腔径、終末部、および周囲構造との関係を記載するよう推奨している。

注意点: 右冠動脈洞から直接起始する円錐枝を起始異常として記載すること。SCCT 2026は、これを円錐枝の2つの通常の起始部位の1つとしている。

他の文献: SCCT 2021は、対側のValsalva洞からの起始をACAOSと呼ぶ。ESC 2020ガイドラインは、大動脈からの起始異常をAAOCA、肺動脈からの起始をACAPAとし、後者にALCAPAとARCAPAを含める。2026年、冠動脈異常の国際的な専門家グループであるInternational Coronary Artery Anomalies Collaborative(ICAAC)は、デルファイ法によりAAOCAの命名法を提案した。これは純粋に記述的なもので、リスクを割り当てない。基本となるコードは、R-AAOCA/LS-IAのように、血管、起始する洞、近位部の走行をまとめたものである。ほかの記述子で入口部、近位部の走行、高位起始を詳しく示す。大動脈からの起始だけを扱うため、肺動脈からの起始は含まない。 (SCCT 2021、セクション4.10、p. 209;ESC 2020、セクション4.17.1;Mery 2026、抄録;Tigges 2026、Radiopaedia、症例rID 235236)

ICAACコード。左から順に、異常血管、固定の略語AAOCA、起始する洞、近位部の走行を表す。例えばLCX-AAOCA/RS-RAは右冠動脈洞から起始して大動脈の後方を走行する左回旋枝であり、R-AAOCA/LS-IA,IMは左冠動脈洞から起始し、壁内走行を伴う動脈間走行を示す右冠動脈である。入口部や高位起始などの命名法のほかの記述子は、マップが記載するコードには含まれない。
部分コード意味マップでの設定
血管R右冠動脈「RCA」
血管L左主幹部「LM」
血管LAD左前下行枝「LAD」
血管LCX左回旋枝「LCx」
血管ST右冠動脈と左主幹部を出す単一の幹記載しない。「単冠動脈」タブはLipton分類の型を用いる
固定の略語AAOCA冠動脈の大動脈起始異常(anomalous aortic origin of a coronary artery)すべてのコード
洞RS右大動脈洞「右洞」
洞LS左大動脈洞「左洞」
洞NS肺動脈弁に面していない大動脈洞(nonfacing sinus)選択肢なし
走行IA大動脈と肺動脈の間を走る動脈間走行(壁内走行なし)「動脈間走行」(「壁内走行」なし)
走行IA,IM壁内走行を伴う動脈間走行「動脈間走行」と「壁内走行」
走行IM動脈間走行を伴わない、大動脈壁内の壁内走行選択肢なし
走行IS肺動脈弁の平面より下方、心室中隔内を走る中隔内走行「中隔内走行」
走行PP肺動脈の前方を走る肺動脈前走行「肺動脈前走行」
走行RA大動脈の後方を走る大動脈後走行「大動脈後走行」

出典: Mery 2026、JACC Cardiovasc Imaging、抄録(命名法の範囲と目的);Tigges 2026、Radiopaedia、症例rID 235236(コードの各部分の意味)。「マップでの設定」の列は現在の「冠動脈の起始」パネルを示す。

CCTA Mapでは

「解剖 ▾」の「冠動脈の起始」を開くと、「1本の血管」「左主幹部」「単冠動脈」の3つのタブをもつパネルが表示される。「1本の血管」で「対象血管」(RCA、LM、LAD、LCx)と「起始」を選ぶ。起始は「右洞」「左洞」「RCAから」(LADとLCxのみ)「PT」のいずれかで、無冠動脈洞の選択肢はない。選択した血管に設定できない起始はボタンが無効になり、その理由が表示される。テンプレートは血管の起始、走行、到達部位を記載し、Eを付加する。起始が「右洞」または「左洞」の場合、「起始・走行」の最初の文の末尾に括弧付きでICAACコードが付き、この文はパネルとレポートで同じである。例えば「(ICAAC:LCX-AAOCA/RS-RA)」は、右冠動脈洞から起始して大動脈の後方を走行するLCXにあたる。コードの各部分の意味は「詳細」の表に示す。「RCAから」と「PT」ではコードは付かず、「単冠動脈」タブはLipton分類の型を用いる。起始異常による狭小化は、そのセグメントに種類「非動脈硬化性」と原因「異常走行」で入力する。狭窄度が評価されてEが付き、Pは付かず、レポートではプラークを伴わない狭小化として記載される。冠動脈樹にプラークがなければ、中等度狭窄を伴う大動脈肺動脈間走行の起始異常はCAD-RADS 3/Eとなる。

マップのテンプレート出力(原文のまま)

起始・走行:左回旋枝 (LCX)は右冠動脈洞から異常起始し、右冠動脈とは別に固有の入口部を有する。大動脈基部の後方を走行し(大動脈後走行)、左房室間溝に至って以降は通常の走行を示す(ICAAC:LCX-AAOCA/RS-RA)。左主幹部は左冠動脈洞から起始し、そのまま左前下行枝に移行する。大動脈と肺動脈幹の間を走行する血管はない。優位性:右優位。

インプレッション 冠動脈疾患を認めない。CAD-RADSカテゴリー 0/E。

良性走行を伴う冠動脈起始異常。大血管間を走行しない。

異常冠動脈の走行 Course of an anomalous coronary artery#

別名: 異常冠動脈の走行形態, 中隔内走行, intraconal course (経中隔走行(肺動脈弁下走行)の別名), 心臓前方走行 (肺動脈前走行の別名), 動脈間走行, 大動脈後走行, 肺動脈前走行 (SCCT 2026が挙げる走行), 経中隔走行, 肺動脈弁下走行 (SCCT 2026の1つの走行の2つの名称)

走行は、異常冠動脈が心基部のどこを通過するかを示す。SCCT 2026は、動脈間走行、大動脈後走行、経中隔走行(肺動脈弁下走行)、肺動脈前走行の4つを挙げる。

記載例

左前下行枝 (LAD)の起始異常(右冠動脈洞から起始)、経中隔走行(肺動脈弁下走行)。

混同しやすい点: 経中隔走行(肺動脈弁下走行)と動脈間走行。前者は肺動脈弁の下方で中隔内を走行し、後者は大動脈基部と肺動脈幹の間を通る。

関連項目: 冠動脈起始異常 · 壁内走行 · 起始異常の高リスク解剖 · 修飾子E(例外)

出典: SCCT 2026、本文、非動脈硬化性冠動脈異常(セクションj)、p. 12 · “Anomalous courses could be interarterial, retroaortic, transseptal (subpulmonic) or prepulmonic”

詳細

読影での使い方: 近位部を軸位断像と斜位像で、本来走行する溝に達するまで追跡する。動脈間走行は高リスクとされ、収縮期には、拡張する大動脈と肺動脈の間で動脈が圧迫される。経中隔走行は、拡張する大動脈と収縮する右室流出路の間にあり、圧迫は少ない。

注意点: 動脈間走行と記載しながら、近位部に狭小化があるのにその狭窄度を評価しないこと。SCCT 2026は内腔径の記載を求めており、CAD-RADS 2.0はこの狭小化の狭窄度でカテゴリーを決め、Eを付ける。中等度狭窄であればCAD-RADS 3/Eとなる。

他の文献: 心臓の後方を通る心臓後方走行を加え、5つの走行を挙げる総説もある。文献上の別名として、経中隔走行には中隔内走行(intraseptal)、肺動脈前走行には心臓前方走行(precardiac)がある。本用語集はSCCT 2026の4分類に従う。 (Genoud 2026、セクション4.1.3;Evangelista 2024;Karatoprak 2026、方法)

CCTA Mapでは

「1本の血管」で「動脈間走行」「中隔内走行」「肺動脈前走行」「大動脈後走行」のいずれかを選ぶ。マップは血管と起始に応じて1つを選択した状態にする。その組み合わせで設定できない走行はボタンが無効になり、その理由が表示される。「中隔内走行」はSCCT 2026の経中隔走行(肺動脈弁下走行)にあたり、右冠動脈洞から起始するLMまたはLADでのみ選択できる。テンプレートは動脈間走行を高リスク(潜在的悪性)型として記載する。中隔内走行は、動脈間走行より圧迫が軽度で、臨床的意義を症状と虚血評価を踏まえて判断する走行として、肺動脈前走行と大動脈後走行は良性走行として記載される。動脈間走行または中隔内走行の場合、および「PT」からの起始の場合、インプレッションには虚血検査を求める「個別の管理を要する(CAD-RADS対象外)」の行が加わる。「⚙ 修飾子 P·I ▾」で異常血管の領域(異常血管がLMであればLADまたはLCX)にCT-FFRまたはCTPの結果がすでにある場合、この行と中隔内走行の文は検査を求めずにその結果に言及する。カテゴリー0ではレポートにCT-FFRもCTPも記載されず、「固定性」の欠損だけが例外のため、考慮されるのはその結果だけである。ほかの結果は「✎ 下書きを編集」で記入する。「PT」からの起始では選択する走行はない。

マップのテンプレート出力(原文のまま)

起始・走行:右冠動脈 (RCA)は左冠動脈洞から異常起始し、左冠動脈とは別に固有の入口部を有する。大動脈と肺動脈幹の間を走行し(動脈間走行)、右房室間溝に至って以降は通常の走行を示す(ICAAC:R-AAOCA/LS-IA)。優位性:右優位。

インプレッション 冠動脈疾患を認めない。CAD-RADSカテゴリー 0/E。

動脈間走行を伴う冠動脈起始異常:心筋虚血および心臓突然死のリスクが高い高リスク(潜在的悪性)型。壁内走行、スリット状起始口、鋭角な起始角度、近位部の狭小化などの高リスク所見に注意する。

個別の管理を要する(CAD-RADS対象外):症状と解剖に応じた虚血検査および循環器内科・心臓外科への紹介を検討する。

壁内走行 Intramural course#

別名: 壁内走行区間, 大動脈壁内走行, intramural segment, intramural course (英語)

壁内走行とは、異常冠動脈の近位部のうち、大動脈壁から離れる前に大動脈壁内を走行する部分をいう。動脈間走行のリスクを高める。

記載例

右冠動脈 (RCA)の起始異常(左冠動脈洞から起始)、動脈間走行。鋭角な起始角度、血管短軸像でのスリット状の入口部、大動脈側の冠動脈周囲脂肪の欠如から、壁内走行が示唆される。

この例の前提: 壁内走行区間が内腔を狭小化していれば、その狭窄度と、Eを付けたカテゴリーを書き加える(中等度狭窄でプラークがなければCAD-RADS 3/E)。

混同しやすい点: 異常冠動脈の壁内走行と心筋ブリッジの心筋内走行。前者は起始部近くの大動脈壁内を走る区間、後者は心筋内のトンネル部である。

関連項目: 起始異常の高リスク解剖 · 異常冠動脈の走行 · 心筋ブリッジ · 入口部病変と入口部近傍病変

出典: SCCT 2026、本文、非動脈硬化性冠動脈異常(セクションj)、p. 12 · “An intramural segment is not directly visualized, but can be inferred by an acute takeoff angle, segmental narrowing with a slit-like orifice at cross-section”

詳細

読影での使い方: CTでは直接描出されない。鋭角な起始角度、血管短軸像でスリット状の入口部を伴う分節状の狭小化、大動脈内腔側での冠動脈周囲脂肪による被覆の欠如から推定する。認めた場合はその長さを計測する。

注意点: 血管を斜めに切る軸位断像で近位部内腔の形状を評価すること。スリット状の入口部は血管短軸像で確認する。

他の文献: Angelini分類では、「intramural coronary artery(壁内冠動脈)」は心筋ブリッジの別名である。本用語集ではSCCT 2026と同様に、壁内走行を大動脈壁内を走る異常冠動脈の区間とし、心筋ブリッジのトンネル部は心筋内走行と呼ぶ。SCCT 2026は冠動脈解離について「壁内血腫(intramural hematoma)」という語も用いるが、この血腫は冠動脈自体の壁内にある。 (Ganga 2021、表1;Evangelista 2024;Genoud 2026、図5;SCCT 2026、pp. 12–13)

CCTA Mapでは

「高リスク所見」で「壁内走行」を選び、「壁内走行長(mm)」に長さを入力する。選択できるのは、大動脈から起始して「動脈間走行」を示す場合だけである。そのため、ICAAC命名法がIAを伴わずにIMと記載する、動脈間走行のない壁内走行はマップでは選べない。テンプレートは「起始・走行」に「壁内走行区間、長さ約6 mm」と記載し、インプレッションの高リスク所見にも列挙する。マップは大動脈壁内の区間を描画する。レポートのICAACコードでは、走行がIAからIA,IM、すなわち壁内走行を伴う動脈間走行に変わる。マップは長さをコードに記載しない。このセグメントが内腔を狭める場合、その狭小化は種類「非動脈硬化性」と原因「壁内走行」で入力する。狭窄度が評価されてカテゴリーに算入され、PなしでEが付く。

マップのテンプレート出力(原文のまま)

起始・走行:右冠動脈 (RCA)は左冠動脈洞から異常起始し、左冠動脈とは別に固有の入口部を有する。起始部から大動脈壁内を走行し(壁内走行区間、長さ約6 mm)、次いで大動脈と肺動脈幹の間を走行し(動脈間走行)、右房室間溝に至って以降は通常の走行を示す(ICAAC:R-AAOCA/LS-IA,IM)。優位性:右優位。

インプレッション 冠動脈疾患を認めない。CAD-RADSカテゴリー 0/E。

動脈間走行を伴う冠動脈起始異常:心筋虚血および心臓突然死のリスクが高い高リスク(潜在的悪性)型。

高リスク解剖学的所見を認める:壁内走行区間(約6 mm)。

個別の管理を要する(CAD-RADS対象外):症状と解剖に応じた虚血検査および循環器内科・心臓外科への紹介を検討する。

起始異常の高リスク解剖 High-risk anatomy of an anomalous coronary artery#

別名: 悪性冠動脈起始異常 (臨床上の呼称で、通常は動脈間走行を指す), 高リスク所見 (マップのパネル見出し), スリット状の入口部, 鋭角な起始角度, 鋭角な起始 (高リスク所見。壁内走行も示唆する), 高位起始 (ST junctionまたはそれより上方の入口部)

動脈間走行、壁内走行、スリット状の入口部、鋭角な起始角度、近位部の狭小化、高位起始は、虚血と関連するため高リスクとされる。

記載例

左主幹部 (LMT)の起始異常(右冠動脈洞から起始)、動脈間走行、スリット状の入口部および鋭角な起始角度。

この例の前提: 近位部に狭小化があれば、その狭窄度と、Eを付けたCAD-RADSカテゴリーを書き加える。どのセグメントにもプラークがなければPは付けない。

関連項目: 異常冠動脈の走行 · 壁内走行 · 冠動脈起始異常 · 入口部病変と入口部近傍病変

出典: SCCT 2026、本文、非動脈硬化性冠動脈異常(セクションj)、p. 12 · “An interarterial course between the aortic root and pulmonary artery is considered a high-risk anatomy, particularly when combined with an intramural course.”

詳細

読影での使い方: 走行を確定したら、入口部と近位部を血管短軸像で観察する。入口部の形状、起始角度、狭小化の長さ、ST junctionに対する入口部の高さを記載する。

注意点: 左冠動脈洞から起始するRCAと、右冠動脈洞から起始する左冠動脈を同等に扱うこと。ESC 2020は後者をより悪性としている。

他の文献: ESC 2020ガイドラインは、ST junctionより1 cmを超えて上方にある入口部を高リスクとする。ST junctionより上方の入口部をすべて高位起始と呼ぶ著者もおり、SCCT 2026は距離を定めていない。 (ESC 2020、セクション4.17.2および注c;Karatoprak 2026、方法)

CCTA Mapでは

起始が「右洞」または「左洞」の場合、「高リスク所見」に「スリット状起始部/鋭角な起始」「壁内走行」(「動脈間走行」の場合のみ)「高位起始」が表示される。起始が「PT」または「RCAから」の場合、この項目は表示されない。テンプレートは選んだ所見をインプレッションに列挙し、いずれもカテゴリーを変えない。動脈間走行で所見を1つも選ばない場合、インプレッションには高リスク所見に注意するよう促す文が残る。これらの所見のうち、レポートのICAACコードを変えるのは「壁内走行」だけで、IAがIA,IMとなる。スリット状の入口部と高位起始はインプレッションに列挙されるが、ICAAC命名法には入口部と高位起始それぞれの記述子があるものの、マップはこれらをコードに加えない。近位部の狭小化は、そのセグメントに種類「非動脈硬化性」と原因「異常走行」または「壁内走行」で入力する。狭窄度が評価されてカテゴリーに算入され、PなしでEが付く。

マップのテンプレート出力(原文のまま)

起始・走行:左主幹部 (LM)は右冠動脈洞から異常起始し、右冠動脈とは別に固有の入口部を有する。起始部から大動脈壁内を走行し(壁内走行区間、長さ約10 mm)、次いで大動脈と肺動脈幹の間を走行し(動脈間走行)、その後通常の位置で左前下行枝と左回旋枝に分岐する(ICAAC:L-AAOCA/RS-IA,IM)。左冠動脈洞に冠動脈入口部を認めない。優位性:右優位。

インプレッション 冠動脈疾患を認めない。CAD-RADSカテゴリー 0/E。

動脈間走行を伴う冠動脈起始異常:心筋虚血および心臓突然死のリスクが高い高リスク(潜在的悪性)型。

高リスク解剖学的所見を認める:鋭角な起始角度を伴うスリット状狭小な起始部、壁内走行区間(約10 mm)および高位起始(ST junctionより上方)。

個別の管理を要する(CAD-RADS対象外):症状と解剖に応じた虚血検査および循環器内科・心臓外科への紹介を検討する。

単冠動脈 Single coronary artery SCA・Lipton分類 R/L・I/II/III・A/B/P#

別名: 単一冠動脈, 単冠動脈症, 孤立性単冠動脈 (他の先天性心疾患を伴わないもの。Lipton 1979の論文の表題)

単冠動脈では、冠動脈全体が大動脈の1つの入口部から起始し、2つ目の冠動脈入口部がない。Lipton分類は、起始する洞(RまたはL)と動脈の分布(I型、II型、III型)で記載し、分枝が心基部を横断する場合は、大動脈と肺動脈幹に対するその走行(A、B、P)を加える。

記載例

右冠動脈洞から起始する単冠動脈(Lipton分類R-IIB型)。左主幹部は右冠動脈近位部から起始し、大動脈と肺動脈幹の間を走行。左冠動脈洞に冠動脈入口部を認めない。

この例の前提: 動脈間を走行する分枝に狭小化がないこと。狭小化があれば、その狭窄度と、Eを付けたカテゴリーを書き加える。どのセグメントにもプラークがなければPは付けない(中等度狭窄ならCAD-RADS 3/E)。

混同しやすい点: II型の単冠動脈と、1本の血管の対側洞からの起始異常。前者では対側の冠動脈が単一動脈の近位部から起始し、後者では異常冠動脈が対側の洞に固有の入口部をもつ。

関連項目: 冠動脈起始異常 · 異常冠動脈の走行 · 左主幹部欠如 · 修飾子E(例外)

出典: Al Umairi 2019(方法・考察)とElbadawi 2018(表1)に基づくLipton 1979;CAD-RADS 2.0、3.3.6節

詳細

読影での使い方: 大動脈基部の軸位断像と斜位像で両方の洞を確認し、一方に入口部がないことを確かめてから、単一の入口部から各分枝を追跡する。洞、型、さらに分枝が心基部を横断する場合はその走行を記載する。動脈間を走行する分枝では、壁内走行、スリット状の入口部、近位部の狭小化も探す。分枝の名称について、SCCT 2026は各動脈を走行する溝で定義している。LADは前室間溝、LCXは左房室間溝、右冠動脈は右房室間溝である(p. 4)。CAD-RADS 2.0は修飾子Eの原因に冠動脈異常を含め、その一覧は網羅的ではないとしている。動脈間を走行する分枝の狭小化は狭窄度を評価し、中等度狭窄を伴う動脈間走行の異常の例(CAD-RADS 3/E)と同様にEを付ける。

注意点: 心基部を横断する分枝の走行を記載せずに、単冠動脈を良性とすること。Elbadawi 2018はR-I型とL-I型の経過を良性としており、Al Umairi 2019は大動脈と肺動脈幹の間を通る分枝を心筋虚血や突然死と関連づけている。

他の文献: カテーテル検査での頻度は0.024–0.066%と報告されている。冠動脈CTでは、Al Umairi 2019が4445例で0.27%と、引用する過去の症例集積(0.024–0.098%)より高い頻度を報告し、Katekaru-Tokeshi 2021は循環器の基幹施設で0.51%と報告しており、その87.5%は他の先天性心疾患を伴っていた。大血管の位置異常を伴う複雑心疾患では、Katekaru-Tokeshi 2021はLipton分類よりLeiden conventionのほうが適しているとしており、Lipton分類は無冠動脈洞からの起始も含まない。 (Al Umairi 2019、緒言・結果・考察;Katekaru-Tokeshi 2021、抄録・緒言・結果)

単冠動脈のLipton分類と、マップの「単冠動脈」タブで選べるもの。
型内容変異マップでの設定
I1本の動脈が通常の冠動脈の溝を走行し、対側冠動脈の領域まで続くR-I:右冠動脈が左房室間溝をLCXとして続き、LADとして終わる。L-I:LCXが心臓十字部(crux)を越えて右冠動脈として続くR-IとL-I。それぞれ優位性が固定される
II単一動脈の近位部から分枝が起始し、心基部を横断した後に通常の走行をとるR-II:左主幹部が右冠動脈から起始する。L-II:右冠動脈が左主幹部から起始するR-IIとL-II、走行A、B、P
IIILADとLCXが右冠動脈近位部から別々に起始するR-IIIのみ。Liptonは左のIII型を記載していないR-III(LCXは大動脈後走行、LADは肺動脈前走行または動脈間走行)
走行A:肺動脈幹の前方。B:大動脈と肺動脈幹の間。P:大動脈の後方YamanakaとHobbsがS(経中隔)とC(複合)を加えたA、B、P。SとCはない

出典: Al Umairi 2019(考察)とElbadawi 2018(表1)に基づくLipton 1979およびYamanaka・Hobbs 1990(原著は参照できなかった);「単冠動脈」タブは2026-10-09にマップで確認。

CCTA Mapでは

「解剖 ▾」の「冠動脈の起始」には「単冠動脈」タブがあり、「単一入口部の洞」(RまたはL)、「型」(I、II、III)、「横断する分枝の走行」(A「肺動脈前」、B「動脈間」、P「大動脈後」)の3行がある。左のIII型はなく、R-III型はLCXの大動脈後走行と、LADの肺動脈前走行または動脈間走行で選べる。S(経中隔)とC(複合)の走行には選択肢がない。組み合わせを選ぶたびにマップが描き直され、描き直されるセグメントに入力した内容は確認後に消去され、「元に戻す」で復元できる。テンプレートは「起始・走行」に解剖を記載し、ICAACコードは付けず、すべての型でEを付加する。R-I型では右優位、L-I型では左優位に固定される。動脈間走行(R-IIB、L-IIB、およびLADが動脈間を走るR-III)では、インプレッションに高リスク変異と個別の管理の項目が加わる。「1本の血管」の高リスク所見は使えない。Lの型では、左主幹部の50%以上の狭窄は4Bとなる。Rの型では幹は右冠動脈近位部であり、右冠動脈として狭窄度を評価する。分枝の起始より手前に50%以上の狭窄を入力すると、インプレッションは、その分枝の領域にも影響すること、CAD-RADSがその数え方を定めていないことを加える。R-II型とR-III型では、セグメント全体に入力した病変は分枝の起始より後とみなされる。左主幹部がなければR-I型とR-III型だけを選択でき、起始異常を設定している場合はどの型も選べない。

冠動脈瘤と冠動脈拡張症 Coronary artery aneurysm and ectasia CAA・CAE#

別名: 冠動脈拡張, 瘤状拡張, 嚢状冠動脈瘤, 紡錘状冠動脈瘤 (優位な径による瘤の形態), 冠動脈仮性瘤, 偽性冠動脈瘤 (動脈壁の3層構造をもたず、真の瘤ではない)

冠動脈瘤は、径が隣接する正常セグメントの1.5倍を超え、血管長の50%未満にとどまる拡張である。それを超えて広がるものは冠動脈拡張症である。

記載例

右冠動脈 (RCA) 近位部に紡錘状冠動脈瘤、最大径7 mm(隣接する正常セグメントは4 mm)。

この例の前提: 拡張が血管長の50%未満にとどまること。50%を超えて広がれば冠動脈拡張症である。

混同しやすい点: 冠動脈瘤と仮性瘤。仮性瘤は動脈壁の3層構造をもたない限局性の膨隆で、冠動脈インターベンション、手術、感染、外傷、妊娠によって生じる。

関連項目: 参照血管径 · 修飾子E(例外) · 冠動脈血管炎 · 冠動脈瘻

出典: SCCT 2026、本文、非動脈硬化性冠動脈異常(セクションj)、p. 12 · “Coronary artery aneurysm is defined as a coronary artery segment with a diameter > 1.5 times the diameter of normal adjacent coronary artery segments or the largest coronary artery”

詳細

読影での使い方: 最大径を血管短軸像で計測し、隣接する正常セグメントまたは最も太い冠動脈の径と比較する。嚢状瘤では横径が長軸方向の径より大きく、紡錘状瘤では長軸方向の径のほうが大きい。

注意点: 血管長の半分を超える拡張を冠動脈瘤と呼ぶこと。このびまん性の拡張は冠動脈拡張症であり、SCCT 2026はその主因を動脈硬化としている。

CCTA Mapでは

マップには冠動脈瘤・冠動脈拡張症の入力項目がない。冠動脈瘤はCAD-RADS 2.0の表3に挙げられているが、マップはEを付加しない。所見は「✎ 下書きを編集」で記入し、冠動脈瘤であればEも手入力する。

冠動脈血管炎 Coronary vasculitis#

別名: 冠動脈炎, 冠状動脈炎, CAV (Woodworth 2024での「coronary artery vasculitis」の略語。SCCT 2026ではCAVは心移植後冠動脈病変(cardiac allograft vasculopathy)を指す) 本用語集では使わない

冠動脈血管炎は冠動脈壁の炎症である。冠動脈CTでは、全周性または連続性の平滑な壁肥厚として現れ、造影増強を示し、隣接する脂肪組織の濃度上昇を伴うことがあり、限局性または多発性の狭窄を伴うことも伴わないこともある。非動脈硬化性の所見であり、CAD-RADS 2.0では修飾子Eで示す。

記載例

右冠動脈 (RCA) 近位部:平滑な全周性壁肥厚、冠動脈周囲脂肪の濃度上昇、中等度狭窄(50–69%)。冠動脈血管炎を示唆。CAD-RADS 3/E。

この例の前提: 他の病変がより高いカテゴリーを示さず、どのセグメントにもプラークがなく、他の修飾子も該当しないこと。プラークがあれば、プラーク負荷のPをEの前に置く(例:CAD-RADS 3/P1/E)。

混同しやすい点: 血管炎と冠動脈の包囲(encasement)。後者は不整または結節状で腫瘤様の、内腔に対して偏心性の肥厚で、心外膜脂肪の著明な濃度上昇を伴い、IgG4関連疾患、組織球性疾患、アミロイドーシス、サルコイドーシス、腫瘍などでみられる。

関連項目: 冠動脈瘤と冠動脈拡張症 · 修飾子E(例外) · 偏心性プラークと求心性プラーク · 入口部病変と入口部近傍病変

出典: SCCT 2026、本文、非動脈硬化性冠動脈異常(セクションj)、pp. 12・13;CAD-RADS 2.0、3.3.6節 · “smooth wall thickening that is circumferential and/or continuous with adjacent fat tissue stranding, showing contrast enhancement, with or without associated focal/multifocal luminal stenosis”

詳細

読影での使い方: 罹患した血管とセグメント、互いに離れた複数の肥厚(スキップ病変)の有無、各狭窄の程度、瘤を記載する。炎症は大動脈から冠動脈の入口部と近位部に及ぶことがあるため、大動脈壁も確認する。急性期には二重リング徴候がみられることがある。内側は浮腫状で低吸収の内膜、外側は強く造影される炎症性の中膜と外膜である。CAD-RADS 2.0に血管炎の例はない。中等度狭窄を伴う異常冠動脈の例(3/E)に倣い、狭小化の狭窄度を評価し、Eをコードの末尾に置く。

注意点: 平滑な全周性の壁肥厚を、求心性の非石灰化プラークと読むこと。Woodworth 2024は動脈硬化を血管炎の類似疾患の1つに挙げ、特に古典的な心血管危険因子のない急性冠症候群では、平滑な全周性または連続性の壁肥厚に血管炎を考慮するよう提案している。

他の文献: SCCT 2026は原因として、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、川崎病、ANCA関連血管炎、ベーチェット病、HIV感染症を挙げる。Gori 2021によれば、高安動脈炎では入口部の狭窄または閉塞が、川崎病では狭窄よりも瘤が優位であり、冠動脈を侵すことがまれな巨細胞性動脈炎では、平滑で先細り状のびまん性狭小化がみられる。Goriは動脈周囲炎や瘤を伴うIgG4関連疾患を含めているが、SCCT 2026はこれを血管炎ではなく冠動脈の包囲に分類している。 (SCCT 2026、p. 13;Gori 2021、Biomedicines、表1・5節)

CCTA Mapでは

マップには血管炎や壁肥厚のための原因や操作はない。狭小化は種類「非動脈硬化性」で原因を選ばずに入力できる。狭窄度が評価されてカテゴリーに算入され、Eが付き、SISやPではプラークとして数えない。レポートでは血管炎の名を出さずに、プラークを伴わない非動脈硬化性狭小化として記載される。狭小化を入力しなければEは付かない。壁肥厚と診断は「✎ 下書きを編集」で記載する。

冠動脈瘻 Coronary artery fistula CAF#

別名: 冠動静脈瘻 (Genoud 2026が収載するGentileの解剖学的分類での名称), 冠状動脈瘻, 冠動脈心腔瘻 (心腔に流入する場合), 冠動脈肺動脈瘻 (肺動脈に流入する場合)

冠動脈瘻は、冠動脈が心筋の毛細血管床を経ずに心腔、冠静脈洞、または大血管と交通するものである。SCCT 2026によれば、心室、心房、冠静脈洞、上大静脈、肺動脈、肺静脈、またはこれらの複数の部位に流入しうる。

記載例

左前下行枝 (LAD) 近位部と肺動脈幹の間の冠動脈瘻。瘤形成のない蛇行血管で、肺動脈幹の左外側壁に流入、内腔への造影剤ジェットあり。

混同しやすい点: 冠動脈肺動脈瘻と冠動脈の肺動脈起始(ALCAPA・ARCAPA)。前者では大動脈から起始した冠動脈が肺動脈と交通し、後者では冠動脈が肺動脈そのものから起始する。

関連項目: 冠動脈瘤と冠動脈拡張症 · 冠動脈起始異常 · 修飾子E(例外)

出典: SCCT 2026、本文、非動脈硬化性冠動脈異常(セクションj)、p. 12、表6、p. 20;CAD-RADS 2.0、3.3.6節および表11に続く修飾子の本文(CAD-RADS 0–5へのE);Qureshi 2006、形態・病態生理の項 · “A coronary artery fistula connects the coronary artery to ventricles, atria, coronary sinus, superior vena cava, pulmonary artery, pulmonary vein or multiple sites, bypassing the myocardial capillary bed.”

詳細

読影での使い方: 流入動脈の血管と起始セグメント、走行、流出部位、流入動脈と流出部位の数を記載する。Qureshi 2006が指摘するように、流入動脈や流出部位が複数あることがあるためである。血管の径と蛇行、走行中の瘤とその最大径、瘻内の血栓や容量負荷による心腔拡大などCTでみえる合併症も記載する。SCCT 2026は、異常を起始、走行、終末部で記載すること、拡張や瘤も記載することを強く推奨している(表6)。CAD-RADS 2.0では、冠動脈瘻は修飾子E(例外)の対象の1つである。カテゴリーは引き続き狭窄度とプラークのPで決まり、Eはコードの末尾に置く。どのセグメントにもプラークも狭窄もなければ、コードはCAD-RADS 0/Eとなる。

注意点: 拡張し蛇行した冠動脈を、終末部まで追跡せずに拡張症と記載すること。その終末部に、拡張を説明する瘻があることがある。SCCT 2026は瘻を伴う冠動脈をこのように記載し、瘻を代償性拡張症の原因の1つに挙げている。

他の文献: Genoud 2026が収載するGentileの解剖学的分類では、瘻は先天性または後天性の終末部の異常である。Genoud 2026は、径が罹患していない最も太い冠動脈より小さいものを小、参照冠動脈径の1–2倍のものを中、2倍を超えるものを大としている。8 mmを超えるものは一般に巨大と呼ばれる。報告されている合併症は、冠動脈盗血による虚血、血栓症、瘤状拡張、心不全、不整脈、心内膜炎、破裂である。Liu 2014の冠動脈CTの症例集積では、66例中60例が冠動脈肺動脈瘻で、そのうち54例では肺動脈幹の左外側壁に流入していた。60例中46例では内腔への造影剤のジェットがみられ、残る14例では肺動脈壁の小さな欠損だけがみられた。 (Genoud 2026、表2、4.3節・5.3節;Qureshi 2006、臨床像の項;Liu 2014、結果)

CCTA Mapでは

マップは冠動脈瘻を表示せず、Eも付加しない。編集した下書きはマップと連動して更新されなくなるため、冠動脈樹の残りを入力した後で、「✎ 下書きを編集」で所見とEを記入する。肺動脈幹への瘻に「冠動脈の起始」の「PT」は使わない。テンプレートはこれを肺動脈起始の冠動脈起始異常(ALCAPA/ARCAPA)として記載する。

特発性冠動脈解離と壁内血腫 Spontaneous coronary artery dissection and intramural hematoma SCAD#

別名: 自然発症冠動脈解離, 冠動脈壁内血腫, IMH (壁内血腫の英語略語。SCCT 2026が用いる), 冠動脈解離 (より広い概念で、CAD-RADS 2.0の表3の用語。ESCがSCADから除外する医原性、外傷性、動脈硬化や大動脈解離に続発する解離も含む)

特発性冠動脈解離は、心外膜冠動脈の壁内に偽腔が急性に形成されるもので、動脈硬化、外傷、冠動脈の手技によらないものをいう。偽腔の血液は壁内血腫を形成し、内膜の亀裂の有無にかかわらず真腔を圧迫しうる。

記載例

左前下行枝 (LAD) 中間部:石灰化を伴わない三日月状の壁肥厚、平滑で先細り状の内腔狭小化。特発性冠動脈解離による壁内血腫を示唆するが、冠動脈CTでは非石灰化プラークとの確実な区別は困難。

この例の前提: この記載例は狭窄度を示していない。狭小化の狭窄度と、Eを付けたカテゴリーを書き加える。どのセグメントにもプラークがなければPは付けない(高度狭窄ならCAD-RADS 4A/E)。

混同しやすい点: 解離の壁内血腫と、異常冠動脈の壁内走行および心筋ブリッジの心筋内走行。壁内血腫は冠動脈自体の壁内の血液であり、壁内走行は大動脈壁内を、心筋内走行は心筋内を走る区間である。

関連項目: 修飾子E(例外) · 非石灰化プラーク · 壁内走行 · 心筋ブリッジ

出典: SCCT 2026、本文、非動脈硬化性冠動脈異常(セクションj)、p. 13;CAD-RADS 2.0、3.3.6節・表3;定義:Hayes 2018(AHA)、緒言、およびAdlam 2018(ESC)、定義 · “A normal CCTA does not exclude spontaneous coronary artery dissection”

詳細

読影での使い方: SCCT 2026は4つの所見形態を挙げており、表にまとめた。これらには、心外膜脂肪の濃度上昇、数珠状変化、蛇行、心筋ブリッジ、閉塞、石灰化の欠如といった所見を伴うことがある。支配領域の心筋に灌流欠損や局所壁運動異常がみられることもある。冠攣縮や冠動脈塞栓症が類似することがあり、冠動脈CTの空間分解能の限界から、正常な検査でも解離は否定できない。CAD-RADS 2.0は、解離のような非動脈硬化性の原因には通常CAD-RADSカテゴリーを用いないとし、そのために修飾子Eを設けた。Eはコードの末尾に置く。狭小化は通常の尺度で狭窄度を評価し、どのセグメントにもプラークがなければPは付けない。同書の3/Eの例と同じ規則を当てはめると、LADの高度狭窄はCAD-RADS 4A/E、閉塞は5/Eとなる。

注意点: 急性冠症候群の若年者にみられる、石灰化のない平滑な壁肥厚を「非石灰化プラーク」と呼ぶこと。SCCT 2023の標準用語は、このプラークを動脈硬化性と定義している。SCCT 2026によれば、壁内血腫は非石灰化プラークと区別しにくいことがあり、確定には血管内イメージングを伴う侵襲的冠動脈造影を要することがある。石灰化の欠如、急峻または先細り状の狭窄、心外膜脂肪の濃度上昇、さらにESCによれば、他の冠動脈が正常またはほぼ正常で病変が遠位セグメントにあることは、解離を支持するが確定はしない。逆の誤りもある。Tweetの症例集積では、壁内血腫と思われた所見が光干渉断層法(OCT)で非石灰化プラークと判明した。

他の文献: AHAとESCは、SCADが疑われる場合の第一選択の検査として侵襲的冠動脈造影を推奨している。ESCは、動脈硬化のリスクが低く、典型的な症状とバイオマーカー陽性を示す若年〜中年の女性を例に挙げる。ESCによれば、SCADに対する冠動脈CTの感度と特異度は不明であり、偽陰性の報告がある。AHAによれば、冠動脈CTは遠位セグメント、分枝、径2.5 mm未満の血管の解離を描出しにくい。両者とも、経過観察での役割はありうるとしている。Tweetの症例集積では、カテーテル検査の前に行われた冠動脈CTの6件のレポートのうち、鑑別診断として解離に言及していたのは2件だけだった。 (Hayes 2018(AHA科学的声明)、冠動脈CTの項;Adlam 2018(ESCポジションペーパー)、冠動脈CT・関連する血管造影所見・経過観察の項;Tweet 2019、結果・考察(図7);SCCT 2023標準用語、表4)

冠動脈CTにおける冠動脈解離の所見形態と、侵襲的冠動脈造影の前後2日以内に検査した14例の症例集積での頻度。
所見冠動脈CTでの見え方所見を認めた患者
急峻な狭窄0.5 mm以内で内腔径が50%を超えて変化する64%
壁内血腫境界明瞭な三日月状の壁肥厚50%
先細り状の狭窄約5 mmにわたり内腔径が50%を超えて減少する36%
内膜フラップ内腔内の線状の低吸収構造14%

出典: SCCT 2026、p. 13(所見と定義);Tweet 2019、抄録・結果(患者ごとの頻度、14例16血管)。

CCTA Mapでは

解離は、そのセグメントに種類「非動脈硬化性」と原因「解離」で入力する。狭窄度スケールで評価され、Eが付き、Pは付かない。例えばLAD中間部の解離で70–99%狭窄ならCAD-RADS 4A/Eとなり、レポートでは原因を括弧で添えたプラークを伴わない非動脈硬化性狭小化として記載される。壁内血腫には専用の操作がなく、「✎ 下書きを編集」で記載する。その時点から下書きはマップから更新されない。

修飾子E(例外) Modifier E (exceptions) E#

別名: E修飾子, 例外修飾子, CAD-RADSの例外, modifier E (英語)

修飾子Eは非動脈硬化性の冠動脈所見を示す。CAD-RADSコードの末尾、N、HRP、I、S、Gの後に記載し、カテゴリーを置き換えずに付記する。

記載例

右冠動脈 (RCA)の起始異常(左冠動脈洞から起始)、動脈間走行、近位部に中等度狭窄(50–69%)。冠動脈に動脈硬化性病変なし。CAD-RADSカテゴリー 3/E。

関連項目: CAD-RADSの記載順と修飾子 · 冠動脈起始異常 · 冠動脈瘤と冠動脈拡張症 · 特発性冠動脈解離と壁内血腫

出典: CAD-RADS 2.0、セクション3.3.6(修飾子E:例外)および表3 · “a modifier “E” is used to account for any non-atherosclerotic narrowing of the coronary arteries and should be added at the end of the score as a modifier”

詳細

読影での使い方: CAD-RADS 2.0の表3は網羅的なリストではなく、解離、起始異常、冠動脈瘤または仮性瘤、血管炎、冠動脈瘻、外因性圧迫、動静脈奇形などを含む。非動脈硬化性の狭小化も狭窄度として評価し、中等度狭窄を伴う動脈間走行の起始異常はCAD-RADS 3/Eとなる。

注意点: どのセグメントにもプラークがない起始異常のコードにPを付けること。CAD-RADS 2.0は、プラークのない動脈間走行の起始異常の例でPを省いている。

他の文献: CAD-RADS 1.0の修飾子はN、S、G、Vのみで、非動脈硬化性所見を示すコードはなかった。CAD-RADS 2.0で修飾子IとEが新設され、修飾子V(vulnerable plaque、不安定プラーク)はHRP(高リスクプラーク)に改称された。 (CAD-RADS 1.0、表1、p. 271;CAD-RADS 2.0、セクション3.3および3.3.6)

CCTA Mapでは

マップは、「1本の血管」で設定した起始異常、単冠動脈、および収縮期圧迫が50%以上の心筋ブリッジに対してEを付加する。「左主幹部」タブで設定する左主幹部の欠如には付加しない。その他の例外では、Eを手入力する。種類「非動脈硬化性」で入力した狭小化(異常走行、壁内走行、心筋ブリッジ、解離、または原因なし)でもEが付く。狭窄度が評価され、Pは付かないため、プラークのない中等度狭窄を伴う大動脈肺動脈間走行の起始異常はCAD-RADS 3/Eとなる。開存グラフトでバイパスされたセグメントでは、この狭小化はEを付けない。

マップのテンプレート出力(原文のまま)

起始・走行:左回旋枝 (LCX)は右冠動脈洞から異常起始し、右冠動脈とは別に固有の入口部を有する。大動脈基部の後方を走行し(大動脈後走行)、左房室間溝に至って以降は通常の走行を示す(ICAAC:LCX-AAOCA/RS-RA)。左主幹部は左冠動脈洞から起始し、そのまま左前下行枝に移行する。大動脈と肺動脈幹の間を走行する血管はない。優位性:右優位。

左前下行枝 (LAD):近位部:非石灰化プラーク、軽度狭窄(25-49%)、高リスクプラーク所見(低吸収プラークおよび陽性リモデリング)、同血管の他部位に病変なし。分枝 D1、D2:病変なし。

インプレッション 軽度の非閉塞性冠動脈疾患。CAD-RADSカテゴリー 2/P1/HRP/E。

良性走行を伴う冠動脈起始異常。大血管間を走行しない。

非閉塞性病変:LAD。

確認問題

要点を確認するための短い問題である。選択肢を選ぶと解答が表示される。

1RCAが左冠動脈洞から起始し、動脈間走行を示す。近位部では大動脈と肺動脈幹の間での圧迫により中等度狭窄を生じている。どのセグメントにもプラークはない。正しいコードはどれか。

2LAD中間部で30 mmの区間が心筋内を走行し、血管短軸像では厚さ3 mmの心筋層に覆われている。SCCT 2026によるこのブリッジの分類はどれか。

3LADが右冠動脈洞から起始する。近位部は肺動脈弁の下方で心室中隔内を通り、前室間溝で再び心外膜側に現れる。この走行はどれか。

4異常RCAが左冠動脈洞から起始し、動脈間走行を示す。近位部の血管短軸像では内腔が楕円形のスリット状で、起始は鋭角をなし、大動脈側で冠動脈周囲脂肪が欠如している。これらの所見が示唆するものはどれか。

5RCAは全長の80%にわたり径7 mmである。正常径の遠位部は4 mmである。この拡張の分類はどれか。

次のステップ症例のレポート全体をマップで作成する →冠動脈樹に病変を記入すると、推奨カテゴリーと編集可能なレポートのテンプレートが得られる。

参考文献

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「他の文献」で引用した文献

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本用語集は、SCCT 2026コンセンサスの定義、表および図を日本語に翻訳し、改変したものである。出典:Rajiah PS, et al. Interpretation and reporting of coronary computed tomographic angiography (2026 update): an expert consensus document of the Society of Cardiovascular Computed Tomography (SCCT). J Cardiovasc Comput Tomogr. 2026. doi:10.1016/j.jcct.2026.08.014(CC BY 4.0ライセンスで公開)。変更点は、平易な表現への書き換えと表の再構成である。本用語集の図はマップの動的な模式図であり、ガイドラインの図をそのまま再現したものではない。本用語集はSCCTの審査・承認を受けたものではない。 CC BY 4.0